作成された公正証書遺言は、誰が、どこで保管するのか?遺言が作成されたかどうかを調べる方法は?

今回のコラムでは、①作成した公正証書遺言は、誰が、どこで保管するのか、②親などが公正証書遺言を作成したかどうかを調べる方法というテーマでお話したいと思います。

作成した公正証書遺言は、誰が、どこで保管するのか?

(1) 公正証書遺言を作成る際には、原本、正本及び謄本の3通が作成作成されます。これらにはどのような違いがあるのでしょうか?

(2) 原本というのは、文字通り公正証書遺言の原本であり、この世で一つしかないオリジナルを意味します。この原本は、公正証書遺言を作成した公証役場で保管されることになります。

(3) 正本というのは、原本の写しではあるものの、原本と同一の効力を有するものになります。たとえば、遺言を執行する際には、正本の提示を求められることがあります。そのため、一般的には、公正証書遺言をサポートした弁護士(事務所)が保管します。

(4) 謄本というのは、原本の写しではあるものの、原本と同一の効力を有しません。そのため、たとえば、遺言執行時に金融機関等に公正証書遺言の謄本を提示しても取り合ってくれないことがあります。とはいえ、謄本を見れば作成した公正証書遺言の内容を確認することができますので、一般的には遺言作成者が保管します。もちろん、ご希望に応じて弁護士(事務所)が保管することもできます。

(5) このように、公正証書遺言を作成すると原本、正本及び謄本の3通が作成されることになりますが、それぞれの効力・役割は異なっており、また保管する主体や場所も異なってきます。
自筆証書遺言に比べて、原本が公証役場で保管されるということは安心材料の一つといえるかもしれませんね。遺言作成時には、遺言作成後の保管態様についても考慮に入れて、ご作成されるのが良いと思われます。

親などが公正証書遺言を作成したか否かを調べる方法

(1) たとえば親が死亡したという場合には、まず日本公証人連合会が管理する遺言検索システムを利用することによって、親が公正証書遺言を作成していたか否かを確認します。
つぎに、当該公証役場において公正証書遺言の謄本の交付申請を行うことによって、作成された公正証書遺言の内容を知ることができます。

(2) 反対、親がまだ生存中であるという場合には、本人又はその代理人でない限り、これらの調査を行うことはできません。
つまり、遺言検索システムや公正証書遺言の謄本交付申請は、本人が生存している場合、遺言を作成した本人及びその代理人のみができる点に注意が必要です。本人が生存している場合、本人及びその代理人以外の者は、遺言検索システムや公正証書遺言の謄本交付申請を行うことができません。
したがって、本人が生存中は、本人の承諾のもと、本人から公正証書遺言の謄本を見せてもらったり、委任状をもらって代理人として謄本の交付申請を行うことによって、公正証書遺言の内容を把握するということになります。

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