遺言能力について
上記(1)の遺言能力については、遺言を作成するにあたっては15歳程度の判断能力が必要であるということを抑えておきましょう(上記(2)~(7)については形式的な要件ですので割愛します。)。
遺言を作成するに際して遺言能力が求められる理由は、端的に言えば、15歳程度の判断能力がない場合には、遺言作成者に、誰に、どの財産を、どのような割合で遺すのかを考えて、決めるだけの判断能力がないため、遺言作成者の意思が正しく遺言に反映されないからです。別の言い方をすれば、15歳程度の判断能力がない場合には、周りの人の言いなりになって遺言を作成してしまうことさえ考えられるわけですが、法はこれを良しとしないわけです。
そして、結論として、公正証書遺言を作成した場合でも、遺言作成者の死後、たとえば一部相続人が「お父さんは、遺言作成時に遺言能力を有していなかった」と主張して、この主張が認められた場合には、作成された公正証書遺言は無効であるという判断が下ることになります。
なお、一部ホームページでは、あたかも作成された公正証書遺言は必ず有効であるかのような記載がありますが、これは誤った情報ですので注意しましょう(もっとも、公正証書遺言が、最も安心・安全な遺言の方式であることは間違いないといってよいでしょう。)。