(公正証書)遺言が無効と判断されてしまった場合、何が起きるのか?

前回のコラムでは、作成した公正証書遺言が無効なのではないかと疑われることを防ぐ方策についてご紹介しました。
今回のコラムでは、もし(公正証書)遺言が無効と判断されてしまった場合に、どのようなことが起きるのかという点についてご説明したいと思います。
なお、本コラムでご説明することは公正証書遺言に限った話ではありません。

作成した公正証書遺言が無効と判断された場合に起きること

(1) 他に遺言がある場合
無効と判断された公正証書遺言以外に遺言がある場合には、当該遺言が有効条件を備えているのであれば、当該遺言が有効になる可能性があります。
たとえば、令和元年1月1日に遺言を作成した後に、令和2年1月1日に新たな遺言を作成したところ、後者の遺言が無効と判断されたとしましょう。この場合、令和元年1月1日に作成した遺言が有効条件を備えいる限り、当該遺言が有効であるとして、当該遺言にしたがって相続が行われることになります。

(2) 他に遺言がない場合
他に遺言がない場合には、相続人間で遺産分割協議という話し合いを行い、これが整わない場合には、遺産分割調停を行い、ここでも整わない場合には、遺産分割審判という手続に移行します。この場合、基本的には、遺言作成者(ご本人)の意思が反映されることなく、法律の定めにしたがって相続が行われることになってしまいます。
なお、遺産分割協議、遺産分割調停・審判については別のコラムでご説明しますが、当事者間の感情の摩擦が生じたり、相続財産の評価方法、相続割合について専門的な判断を要するため、通常は弁護士に依頼して対応せざるを得ない場面が多いかと思います。

まとめ

このように、ひとたび遺言の効力が争われ始めると、時間的・経済的負担が生じてしまいます。したがって、遺言を作成する場合には、公正証書遺言の作成が望ましいと考えますが、その場合でも遺言作成者やその周囲の人間関係等にも目を配って、専門家とともに進めることをお勧めいたします。

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